22歳男性、カナダ人、全身性の浮腫、腹水
22歳男性、東アジア系のカナダ人、腹痛、全身性の浮腫、腹水
Last Resort. J. Hosp. Med. 2019 September;14(9):568-572.
https://mdedge-files-live.s3.us-east-2.amazonaws.com/files/s3fs-public/issues/articles/jhm014090568.pdf
#22歳男性、2-3週間続く腹痛、早期の満腹感を伴う腹部膨満を主訴に来院
#9kgの体重減少、両下肢の浮腫、腹部の膨満、1日に1-2回の非血性の軟便がある
・初期の満腹感や膨満感は、非特異的な症状として
は、胃食道逆流症、消化性潰瘍疾患、胃腸閉塞、または胃穿孔症などの可能性
・身体の5%以上の体重減少は、深刻な基礎疾患があることが多い
・浮腫は、心不全、静脈・リンパ管閉塞による静水圧の増加や、肝疾患、ネフローゼ症候群、栄養失調、または蛋白漏出性胃腸症などの膠質浸透圧上昇が考えられる
病歴より
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#3週間にわたって強くなる全体の腹痛、両下肢、陰嚢、腹壁、および仙骨の浮腫、労作の息切れがある
#早期の満腹感は嚥下障害、嘔気、嘔吐はなかった
#発熱、悪寒、寝汗、吐き気、嘔吐、黄疸、易打撲、起立性頭痛、発作性呼吸困難、夜間呼吸困難、または胸痛などはなかった
#既往:喘息
#常用薬: fluticasone/salmeterol、 albuterol
#東アジア系のカナダ人で配管工として働いていた
# 6年間、1日3~4本のタバコを吸っていた、1ヶ月前から禁煙していた
#週に1回で飲酒、マリファナを使用していた
#同じような症状や悪性腫瘍の家族歴はない
・悪性腫瘍、感染症、膠原病または炎症性疾患、吸収不良、および進行した心臓、腎臓、または肝臓の疾患が鑑別
身体所見より
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#38.1℃、 123/86mm Hg、 138回/分、呼吸回数 20回/分、酸素飽和度 97%
#発汗があった
#黄染や黄疸はなかった
#頚椎、腋窩、鼠蹊では触知可能なリンパ節は触れなかった
#心音は頻脈を認めたが、雑音、擦過音、ギャロップ、頸静脈怒張はなかった
#腹部膨満、深部触診でのびまん性圧痛、腹水を認めた
#陰嚢にまで及ぶ両側下肢の圧痕を残す浮腫を認めた
#神経・肺に目立った異常はなかった
・肝硬変、低アルブミン血症、または閉塞(リンパまたは静脈)の可能性が高い
どのような検査が望まれるか?
・超音波検査
・凝固検査(肝臓の合成機能を評価するため)
・腹水検査(門脈圧亢進症、低アルブミン血症、腹膜疾患かどうか)
・腹水培養(細菌性腹膜炎の可能性)
・腹部や骨盤のCT(悪性腫瘍の評価)
・悪性腫瘍(胃がんやリンパ腫)、膠原病(SLE)、アミロイドの評価
・便(α-1抗トリプシン)
検査所見より
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#Hb 7.8、Plt 5.3万、WBC 10600、ALP 217、Alb 2.7、フェリチン 1310
#アミノトランスフェラーゼ値、ビリルビン、凝固パネル、電解質、クレアチニンは正常
#尿検査では血液、白血球、たんぱく質は陰性だった
#腹水 血清アサイト-アルブミン勾配(SAAG)2、WBC 250
#腹水の細胞診や培養は陰性
#血液培養、HIV-1、2、CMV、EBVの血清学的検査は陰性
# A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎は陰性
#抗核抗体(ANA)、抗dsDNA、ANCA陰性、
#ACE、免疫グロブリンレベル正常
# 胸部、腹部、骨盤の造影CTでは大量の腹水、皮下浮腫、中等度の肝脾腫、少量の胸水、縦隔、腋窩、腸間膜、胸膜周囲、膵臓周囲、および後腹膜リンパ節腫脹を認めた
・リンパ腫が最も可能性が高い
・ SAAGが1.1を超える場合は、門脈圧亢進症の存在を示す
・腹膜播種の癌の細胞診の感度は80%以下
・骨髄穿刺が必要
リンパ節腫脹、貧血、血小板減少の評価のため骨髄生検と切除リンパ節生検を施行した
#骨髄には3系統の過形成、赤血球生成の減少、骨髄の細網線維化
#腋窩リンパ節のフローサイトメトリーではリンパ増殖性疾患や悪性腫瘍の診断はない
・過形成や骨髄の細網線維化は非特異的
#胃生検では軽度の胃症を認めた。
#十二指腸生検、空腸生検、左右結腸生検はいずれも正常であった
・リンパ腫は複数の生検で陰性にもかかわらず鑑別対象となるが、リンパ腫に似ている多系統疾患を考慮すべき
リンパ腫を考慮して、プレドニン50mg/日の10日間開始した
末梢浮腫と腹水の減少、発熱が治まり7日目に退院した
退院後5日後に全身浮腫の悪化,大量の腹水,急性腎障害を訴えて再入院した
#クレアチニン1.66、ヘモグロビン11.5、血小板 9.4万、フェリチン 1,907、ESR 50、CRP 12.1
#溶性IL-2受容体(CD25)、可溶性CD163、NK細胞障害性アッセイは陰性
#鼠径リンパ節はHHV-8は陰性
診断は?
最終診断
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診断:特発性の多中心性キャッスルマン病(CD) 、TAFRO症候群
・血小板減少症、全身性の浮腫、発熱、骨髄の細網線維化および/または腎不全、ならびに臓器肥大を特徴とする症候群である
転機
プレドニゾン、リツキシマブ(抗CD20抗体)、フロセミドを投与した
1ヶ月間の治療で、血球減少、リンパ節腫脹、臓器肥大、全身性浮腫、腹水の完全な消失を認めた。治療は約3ヶ月間継続し、現在は無症状を維持している
・キャッスルマン病(CD)は、単心性(孤立性拡大リンパ節)と多中心性(多焦点性肥大リンパ節)に分けられる珍しいリンパ増殖疾患
・ MCDは全身性の炎症、反応性増殖を呈する良性リンパ球、多巣性リンパ節腫脹、炎症マーカーの上昇、貧血、低アルブミン血症、多クローン性ガンマグロブリン血症が典型的なプレゼンテーションである
・特発性MCDはHHV-8陰性のMCDをさす
・ TAFRO症候群はThrombocytopenia(血小板減少)、Anasarca(体液貯留)、Fever(発熱)、Reticulofibrosis(骨髄線維化)、Organomegaly(臓器腫大)を呈する Catleman病の亜型
・ TAFRO症候群は、高熱、浮腫、肝脾腫、リンパ節腫脹、重度の血小板減少を示す3名の日本人患者を対象に、2010年に特発性MCDとして初めて報告された
①体液貯留、②血小板減少、③原因不明の発熱、炎症反応上昇の全てを満たし、
リンパ節生検でCatleman病の初見、骨髄線維化、臓器腫大、進行性の腎障害のうち
2項目を満たす場合TAFRO症候群と診断する
Int J Hematol. 2016 103(6):686-92.
振り返り
・キーワードを覚えていれば、診断にすぐにたどり着けたかもしれない
・診断が困難なときは多くの科(今回は血液内科、病理)の協力を要する
Next Step
・キャッスルマン病について
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転移性胸腺腫に対し化学療法中、下痢、体重減少
29歳男性、転移性胸腺腫に対し化学療法中、下痢、体重減少
Case 31-2015. A 29-Year-Old Man with Thymoma, Diarrhea, and Weight Loss. N Engl J Med. 2015;373(15):1458‐1467.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcpc1406663
5年前の病歴より
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#来院5年前に他院で左肩の疼痛の評価の際に胸腺腫の診断を受けた
#胸部X線では、大きな縦隔腫瘤、および左胸水を認めた
#CTでは前縦隔に軟部組織腫瘤があり、頭尾側に10cm、横向きに10.1cm、前後方向に5.0cm、左側に胸膜軟部組織結節、胸水貯留、およびそれに伴う無気腫を認めた
#FDG-PETでは縦隔内の腫瘤と、左胸膜の結節に取り込みを認めた
#頭部MRIでは異常なし
#気管支鏡検査で生検を行った、生検では上皮性腫瘍、厚いヒアリン化繊維で分けられた混合するリンパ球が見られた
#WHO分類、typeB3が混在したtype B2の胸腺腫の診断
#フローサイトメトリーでは未熟なT細胞が胸腺細胞と一致していた
#ヒト絨毛性ゴナドトロピンとαフェトプロテインのレベル は正常。
ドキソルビシン、シスプラチン、ビンクリスチン、および シクロホスファミドを3サイクル投与した後、胸腺摘出術を行った
2年半年前の病歴より
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#乾性咳嗽が数分続き、時々嘔吐や右側胸部痛を伴った
#安静時の呼吸困難はなかった
#左胸膜の針生検も胸腺腫を示した
#がん遺伝子変異は認めなかった
追加の化学療法としてドキソルビシン、シスプラチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、その後スニチニブが投与された。咳嗽の改善がみられた.経過は、数回の発熱と咳嗽(そのうち少なくとも3回は細菌性肺炎と診断された)と繰り返す鵞口瘡を認めた
6ヶ月前の病歴より
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#ベーターイソホルム選択性のホスファチジルイノシトール3キナーゼ阻害剤(PI3K阻害薬) が開始された
#第2, 4サイクルの終わりには、安定(SD)した
今回の病歴より
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#来院4週間前に第5サイクル終了時、一日に10~12回の平均して250mlの水溶性下痢を認めた
#嘔気と嘔吐があった
#ロペラミド、モルヒネ、アトロピン・ジフェノキシラート合剤を使用していた
#腹痛、血便、黒色便はなかった
#来院13日前、腹部と骨盤CTでS状結腸の周壁の肥厚都、直細動脈の突出を認めた、リンパ節転移を示唆する腹腔リンパ節の腫大を認めた、胸部CTでは肺結節や胸膜には変化がなかった
#尿酸値 11.4、第5サイクルで終了となった
#6日後(来院1週間前)、 Clostridium difficile 陰性、便培養の細菌は陰性
1週間後、持続性下痢で来院
#発熱、悪寒、嘔吐のない僅かな嘔気、食欲不振、増悪した倦怠感、持続的な胸壁痛、夜間の頭痛、階段を上るときの呼吸困難、口と手、唇の乾燥があった
#1ヶ月で9kgの体重減少
#内服薬は、アロプリノール、モルヒネ、グアイフェネシン、アトロピン・ジフェノキシラート合剤、塩化カリウム,必要に応じて鎮咳薬としてベンゾナチン酸塩
#アレルギー歴:バンコマイシン、オメプラゾール
#小売店で働いていた
#喫煙や飲酒はしていなかった
#父方の祖父が前立腺癌
身体所見・検査所見より
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#バイタルサインと酸素飽和度は正常
#腹部は軟部、右上腹部に深い触診で軽度の圧痛を認めた、筋性防御や反跳痛はなかった
#残りの身体所見は正常だった
#WBC 9200(好中球 75%、リンパ球 15%、単核球 8%、好酸球 0.2%、好塩基球 0.3%)、Na 131、K 3.2、Cl 109、CO2 14.8、AST 62、ALT 152
#Hb、Plt、 Anion Gap正常、糖、TP、Alb、グロブリン、Mg、UA、P、T-Bil、D-Bil、ALP、LDH、腎機能は正常だった
#サイトメガロウイルスのPCR陰性
鑑別は?
がん患者の下痢という切り口
・フルオロウラシル、イリノテカンのようなフルオロピリジン系では下痢を起こす
・経口のチロシンキナーゼ阻害薬(gefitinib, erlotinib, lapatinib, afatinib)や、マルチキナーゼ阻害薬(sunitinib, sorafenib, imatinib)も、半分の患者は下痢を起こすが、重症な下痢は珍しい
・抗CTLA-4抗体の免疫チェックポイント阻害薬は免疫関連腸炎を起こす(PD-1やPD-L1は下痢の確率は低い)、免疫系に異常があると免疫関連腸炎が起こりやすい
・ホルモン産生腫瘍による下痢も鑑別、膵神経内分泌腫瘍(VIP)、カルチノイド腫瘍(セロトニン分泌)、甲状腺髄様癌(カルシトニン)、しかしこれらは胸腺腫と関連性はない
・感染症も鑑別:CD腸炎は陰性、胸腺腫では免疫不全を合併しやすくIsospora belli、 Giardia lambliaによる日和見感染を合併しやすい
胸腺腫の免疫合併症という切り口
免疫不全と自己免疫疾患の2つにわけて考える
胸腺腫の免疫不全について
・この患者には3回の肺炎や口腔や食道カンジダのエピソードがあり、免疫不全が疑われる
・胸腺腫の免疫不全はDr. Robert Good が1954年に報告し、Good’s syndromeとして知られている
・胸腺腫がある患者のうち6-11%は低ガンマグロブリン血症があり、低ガンマグロブリン血症の3-6%が胸腺腫があることが知られている
・ Good’s syndromeの特徴は、末梢血のB細胞の減少、低ガンマグロブリン血症、CD4低下がある
・ Good’s syndromeでは60%が副鼻腔肺感染症、24%がカンジダ感染症、14%が細菌菌血症、12%が感染性腸炎、10%がサイトメガロウイルスに罹患することが知られている
・ Good’s syndromeの病態生理は明らかにされていないが、骨髄のpre-B細胞の進化の停止と考えられている
胸腺腫の自己免疫疾患について
・免疫関連の血球減少、赤芽球癆、重症筋無力症、スティッフマン症候群(stiff man syndrome:SMS)、 扁平苔癬、尋常性天疱瘡、 自己免疫性腸症などがあげられる
・ Good’s syndromeの半数以上が自己免疫疾患を持っているとされる
・非感染性の下痢もGood’s syndromeの50%が持っていると知られる(自己免疫性腸症)
・自己免疫性腸炎は長く続く水溶性下痢、吸収不良を呈する
・ Good’s syndrome以外には、 IPEX (immune dysregulation,polyendocrinopathy, enteropathy, X-linked)や慢性GVHDなど免疫の調節が障害されている疾患に見られる
診断に迫る検査は?
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・血清免疫グロブリンと末梢血のT細胞のサブセットを測定する
・上部下部内視鏡検査
上部内視鏡検査の生検では、絨毛が短縮し、反応性上皮障害、基底細胞のアポトーシス、杯細胞やPaneth細胞の消失があり慢性十二指腸炎の所見であった
下部内視鏡検査の生検では、反応性上皮障害、顕著な陰窩細胞のアポトーシス、軽度のリンパ球浸潤、および杯細胞の広範な損失を伴う大腸粘膜であった
→自己免疫性腸炎の所見、悪性胸腺腫に関連するGVHDの様な腸炎
CD3+ 403 (正常690-540)
CD4+ 155 (正常419-1590)
CD19+ 42 (正常90-660)
CD8+ 正常
IgG 588 (正常 614-1295)
IgM 31 (正常 53-344)
IgA 正常
→ Good’s syndromeに特徴
貧血が進行したため骨髄穿刺:骨髄は低細胞で成熟した骨髄質前駆体と巨核球はあるが、E-カドヘリンの免疫染色でも赤血球の前駆体はない
最終診断:転移性胸腺腫(type B2, type B3)、Good’s syndrome、自己免疫性腸炎
治療について
進行性、再発性の胸腺腫にどう治療するか?
Eastern Cooperative Oncology Groupの後方的研究ではシスプラチン単剤よりシスプラチンを含む併用レジメンはより高い生存率がある
白金含有レジメンは30%から90%の範囲の全奏効率、15ヶ月から70ヶ月以上の範囲の生存率と幅が広い
この患者では白金含有レジメンを使用したが、再発した
胸腺腫と赤芽球癆の患者でオクトレオチドとプレドニゾンの使用が完全寛解につながった症例報告がある
2つの研究では オクトレオチドとプレドニゾンの反応は 30%と37%の奏効率を示した
またカペシタビンとゲムシタビンの併用療法は、いろいろ治療をしてきた胸腺腫の患者で11ヶ月のPFS(progress free survival)と相関した
胸腺腫は治療標的の遺伝子を持たない
EGFR過剰発現は胸腺腫では少ない(20%以下)
cixutumumab, everolimus, and sunitinibのようなターゲットが幅広い治療薬が良い成績であると報告されている
今回の患者では、ペメトレキセドやゲムシタビンなどの単剤が妥当な選択肢であると考えられる
免疫について
免疫グロブリン補充療法(1回あたり400~600mg/kg)、毎月
抗菌薬や抗真菌薬を使用する
グルココルチコイド、シクロスポリン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、リツキシマブを含む免疫抑制剤を使用する
自己免疫性腸症は経口ステロイドで60%が改善する
赤芽球癆は経口ステロイドでは30-60%、シクロスポリンでは65-87%が改善する
転機
メチルプレドニゾロンを静脈内投与した、低ガンマグロブリン血症に対して免疫グロブリン(IVIG)を投与した、 3週間ごとに下痢が改善した
メチルプレドニゾロンを減量し、ST合剤の予防投与を開始した
退院し1週間後に咳嗽が増悪し、ノカルジア による空洞結節影肺炎を起こし、 ST合剤とメロペネムで加療開始した
下痢はIVIGで改善したが、数か月後増悪し赤芽球癆に対するプレドニゾンに反応した
5ヶ月後、赤芽球癆も改善した
下痢は再発したが、それほど重症ではなかった
シクロスポリンと月1回のIVIGを受けた
肺炎や鵞口瘡のエピソードが何回か見られたが、仕事を続けることができていた
残念ながら2年後、胸腺腫が増悪し、症状緩和のためのパクリタキセルで治療していたが、神経障害のため中止となった。食思不振と体重減少があり、再び自己免疫性腸症の診断となった。今後は化学療法を施行できず、支持療法となった
振り返り
・長く続く下痢というフレームワークで考え原虫や寄生虫も鑑別だと考えた
・今回の筆者は基礎疾患(悪性腫瘍/胸腺腫)という切り口で鑑別を考えていた
・胸腺腫に慣れていれば、一発診断ができたのだろう
Next Step
・IPEX (immune dysregulation,polyendocrinopathy, enteropathy, X-linked)について
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嘔気、筋肉痛、痙攣、
日本人、74歳女性、嘔気、筋肉痛、痙攣、酸素化低下
Two cases of ・・・・ in humans. Clin Toxicol (Phila). 2010;48(8):851‐853.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.3109/15563650.2010.517207
(一部、編集)
病歴より
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#突然の嘔気、筋肉痛、自然収束型の痙攣、頻脈、血圧低下、呼吸困難、喉の乾きで救急車で来院
#既往:高血圧と心室期外収縮
#常用薬:cilnidipine、 candesartanを内服中
身体所見・検査所見より
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#GCS 15、瞳孔 4/4
#血圧は82/40mmHg、脈拍数は104/分(不整)、呼吸回数 18/分、SpO2 84%(室内気)、
体温 34.4℃、尿量 1ml/kg/hour以上
#血液ガス検査:pH 7.288、PaCO2 35.2、PaO2 134.4、HCO3 17、BE -9.8、Lactate 11、Anion Gap 19.6
#血液検査:WBC 10400(好中球 58%m、リンパ球 36%)、AST 27、ALT 16、ChE 239、Glu 251、BUN 13、Cre 0.69、Na 146、K 2.2、Cl 104
#エタノールは陰性
追加の問診
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#来院の90分前にネオニコチノイド系殺虫剤を自殺目的に大量内服した
#最終診断:急性ネオニコチノイド中毒
治療:胃洗浄、活性炭、排便促進、支持療法(制吐薬、酸素、昇圧剤、K補充、抗菌薬投与、H2ブロッカー)
転機:嘔気は7時間、低酸素血症は20時間、血圧低下や頻脈は11時間、口渇は22時間続いた。翌日には全ての症状が消失し退院した。
ネオニコチノイド中毒について
・ネオニコチノイド系殺虫剤はシロアリ駆除、シラミ・ノミ取り、ゴキブリ駆除などで一般家庭や農業などで幅広く使用されている殺虫剤である
・ネオニコチノイド系殺虫剤の成分であるネオニコチノイドとは、ニコチン性アセチルコリン受容体のアゴニストであり、神経筋麻痺をきたし、死亡する場合もある
・ネオニコチノイド系は7種類に分けられる
・イミダクリプリド,アセタミプリド,クロチアニジン,チアクロプリド,ジノテフラン,ニテンピラム、チアメトキサム
文献報告されている中毒は、イミダクリプリドが最多(94%)、アセタミプリド(5%)、クロチアニジン(1%)と続く
・症状について
・尿中の6-クロロニコチン酸を測定する方法がある
・ただし、6-クロロニコチン酸はアセタミプリド、イミダクリプリド、チアクロプリド、ニテンピラムの共通代謝産物で、チアメトキサムからは出ない(チアメトキサムは血液、尿などから検出可能)
・血漿のネオニコチノイド系濃度と症状は相関しない可能性があり、ネオニコチノイドの濃度測定はマネージメントには必須ではない
・マネージメント:皮膚の除染と汚染された衣服の除去が必要、胃洗浄や活性炭も使用を考慮する(ただし口腔内や消化管粘膜への腐食性の傷害が発生している場合は胃洗浄や活性炭は禁忌)、自然回復まで支持療法が必要である
・予防:ネオニコチノイド系殺虫剤を使用する場合は、帽子、ゴーグル、手袋、エプロン、ブーツなどの装備装着を必ず指導する
Basic Clin Pharmacol Toxicol. 2013;112(4):282‐286.を参照
振り返り
・市販の殺虫剤の大量内服歴を聴取できれば、診断は容易
・皮膚からの吸収で中毒を起こす報告もあるため、職業歴や暴露歴の聴取も重要
Next Step
・ネオニコチノイド中毒はまだ一般外注検査機関で検査・測定できないため、ネオニコチノイド中毒を疑った場合は、大学病院を含め、獣医学部や農学部で測定可能な外部機関を個人のつてで探さざるを得ない
・肺はどんな画像を呈するのか?
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繰り返す副鼻腔肺感染症
34歳男性、HIVの既往がある、繰り返す副鼻腔肺感染症
Recurrent Sinopulmonary Infections in a Patient Whose HIV Masked ・・・.
J Gen Intern Med. 2020;35(1):341‐344.
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11606-019-05435-3
病歴より
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#34歳男性、HIVの既往があり、3日前から繰り返す呼吸困難、喘鳴、喀痰の伴わない咳嗽を主訴に来院した
#3週間前にBiPAPが必要な呼吸器疾患で入院しており、ウイルス感染症と喘息発作の診断であった
#HIV感染は良好にコントロールされ、CD4+数は537 cells/mm3、HIV RNAは未検出、日和見感染の既往はない
#その他の病歴は、喘息、慢性副鼻腔炎、うつ病、1年以内には合計6回繰り返す肺炎、喘息発作で入院歴がある
#これらの入院中に病原性を認めた微生物は、メタニューモウイルス、ライノウイルスのみ
#細菌や真菌の検出はないが、市中肺炎や院内肺炎で使用する抗菌薬を複数回使用した
#元喫煙者で、覚醒剤の静脈注射や吸入コカインの使用歴がある
#喘息、アルコール依存症、冠動脈疾患の家族歴がある
#常用薬:abacavir-lamivudine,raltegravir, albuterol inhaler, fluticasone-salmeterol inhaler, montelukast, buprenorphine-naloxone, clonazepam, citalopram, mirtazapine, and olanzapine
#アレルギー:ST合剤
身体所見・検査所見より
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#血圧 130/70mmHg、心拍数 140回、呼吸数28回/分、SpO2 97%(酸素 4L)
#発汗、努力呼吸、頻脈、びまん性の喘鳴を認めた
#血算、電解質、腎、糖は問題なし
#LDH 214、
#静脈血液ガス: pH 7.33, PaCO2 47 mmHg, PaO2 52 mmHg
#胸部X線、胸部CT: tree-in-bud appearanceを呈する両側の結節浸潤影、両側胸膜の肥厚を示した
ICUに入室し、 vancomycin, piperacillin-tazobactam, azithromycin, pentamidine and methylprednisoloneで加療開始した
#気管支肺胞洗浄を行い、細菌や呼吸器系ウイルスは陰性、ニューモシスチスやレジオネラも陰性
#ノカルジア、ヘルペス、サイトメガロウイルス、抗酸菌も陰性
診断に迫る検査は?
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#血清免疫グロブリンを測定:血清IgA<5mg/dL(正常値70~400mg/dL)、IgM75mg/dL(正常値40~230mg/dL)IgG 432mg/dL(正常値700~1600 mg/dL)
最終診断:分類不能型免疫不全症(CVID)と診断
治療:3-4週間ごとにIVIg(0.4-0.6g/kg)を投与することになった
転機:4週間後に一度細菌性肺炎で入院したが、その後3年間は一度も再発を繰り返さなかった
Teaching points
・HIV感染者は細菌性肺炎に罹患しやすいが、CD4+ <500のときに顕著になりやすい
・細菌性肺炎の1年の罹患率は、CD4+ <200のとき11%だが、 CD4+ >500では2.3%である
・HIVと液性免疫の関係は複雑だが、HIV患者では高ガンマグロブリン血症が一般的にみられる
・107人の患者のレビューでは、1/3が血清IgA、2/3が血清IgGが上昇し、HIVの進行と関連していた
・別の研究では、高ガンマグロブリン血症が非HIV患者では10%であったのに対し、 HIV患者では53%であった
・免疫グロブリンの上昇の機序は多因子であり、 HIVや他の病原体(EBVなど)に対する免疫応答、ナイーブB細胞の過剰活性化、抗体産生の調節の喪失に関連している可能性がある
・パラプロテインgap(総蛋白質-アルブミン)が高値の時、感染、悪性腫瘍、血液疾患、自己免疫疾患を疑う
・通常、成人の正常患者で低パラプロテインgap(<1.9g/dL)は、液性免疫不全を疑う指標になる
・選択性IgA欠損では、CVIDに進展する可能性があるため、定期的にIgMやIgGをモニターするべきである
・今回の症例では、急激に呼吸器感染を繰り返しやすくなった経過のため、選択性IgA欠損からCVIDへ進展したことが考えられる
・稀だがHIV患者とCVID合併の報告例が複数ある
振り返り
・肺炎の原因精査に囚われてしまった
・繰り返す感染の鑑別に、HIVの既往とCD4正常が目眩しになった
・HIV患者ではパラプロテイン(総蛋白質-アルブミン)gapが高くなることが多い
・HIV患者でパラプロテインgapが低値の時、液性免疫不全の合併を疑う
Next Step
・HIVとCD4について
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嘔気、嘔吐、悪寒
67歳男性、嘔気、嘔吐、悪寒を主訴に来院。フィリピン出身、6年前よりアメリカ在住。
All in the Stream. J Hosp Med. 2019;14(777-781):E1‐E5.
https://mdedge-files-live.s3.us-east-2.amazonaws.com/files/s3fs-public/issues/articles/jhm014120777.pdf
病歴より
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#嘔気、嘔吐、悪寒を主訴に来院
#PMH:尿管拡張で尿管ステント留置の既往があるが、3年前に抜去
#腹痛、下痢、排尿困難、頻尿、血尿、咳、頭痛、発熱はない
#高校の教師を卒業、非喫煙者
- 悪寒は特に高齢の患者では感染症を示唆することが多い
- 腹痛は胆嚢炎だけでなく、命に関わることもある急性膵炎、腸間膜虚血や腸閉塞などの症状が見られる
- 中枢神経系感染症、心血管系疾患の可能性は低い
- 急性腎盂腎炎や腎盂膿瘍の可能性はある
身体所見より
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#体温 38.6度、心拍数 126回/分、呼吸数18回/分、血圧120/76mmHg、酸素飽和度 98%
#口腔粘膜は湿潤、心雑音は正常、肺は清明
#腹部は軟、圧痛なし、拡張なし、陰茎、精巣、睾丸の圧痛はない、腰背部巧打痛なし
#Na 126、K 5.0、Cl 98、HCO3 15、BUN 88、Cre 9.0(Cre 1.4 1年前)、Ca 8、糖 110、Alb 3.3
#WBC 8000、Hb 11.4、MCV・血小板正常
#血漿浸透圧 286mOsm/kg、PTH 63、
#尿検査:尿比重 1.009、RBC 54、WBC 236、エラスターゼ陽性、亜硝酸塩陰性、微量蛋白質、円柱や変形赤血球はない
- 発熱と頻脈は感染を示唆する
- 腰背部巧打痛陰性、泌尿器的診察で正常は、急性腎盂腎炎と前立腺炎の可能性は下がる
- 最も顕著なものは、尿毒症
- PTH、1年前のCreが正常よりAKIが考えられる
- AG 13.7、△AG/ △HCO3<1よりAG開代性代謝性アシドーシスと非AG開代性代謝性アシドーシスの合併が考えられる
- 非AG開代性代謝性アシドーシスには尿路結石の既往から尿細管アシドーシスなどが考えられる
- 尿中Na 9%はpre-renal AKIではない
- 赤血球尿は、尿路結石、UTI、前立腺炎、悪性腫瘍、糸球体腎炎を考える
- 円柱、変形赤血球がないことより糸球体腎炎の可能性は下がる
- 総合的に、尿路結石による尿閉が最も病態として考えられる
画像検査より
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#単純CTでは水腎症を伴う両側性の水尿管を認めた
#右の尿管内と右の尿管遠位部に複数の穿孔性石灰化結石が認められたが、れらの結石は小さすぎて尿管閉塞の原因になるとは考えにくい
#左尿管には結石はなし、左腎内には結石あり、膀胱は正常
・まれに両尿管が後腹膜の尿管接合部の近位に閉塞していることがある
・尿閉には尿路の外(腫瘍、後腹膜線維症)、尿路内(感染症、尿管結石、ステントなどの異物、放射線治療歴、尿管がん、血の塊、転移性尿管沈着症)などがあげられる
・フィリピンではSchistosoma haematobium(尿路住血吸虫症)が流行しており、尿路住血吸虫症が肉芽腫、線維症、仮性ポリープなどによる尿管狭窄を引き起こす可能性がある
・両側尿管拡張の原因は、膀胱や尿道に原因があることが多いが、前立腺肥大や膀胱壁腫大は目立たない
・急性膀胱閉塞でよく起こる、排尿困難や、恥骨上の不快感はない (慢性的な膀胱閉塞ではそういう症状に乏しい)
・両側性の水腎症がAKIと考えられる場合は、emergencyのため泌尿器にコンサルトし、膀胱より上に閉塞があると考えられる場合、両側の経皮的腎ろう増設を考慮する
#セフトリアキソンを投与した。膀胱鏡では遠位球部尿道に狭窄を認めた
#尿道狭窄部を拡張し、Foleyカテーテルを留置した
#しかし、手術室で発熱、血圧低下が起こり、ノルアドレナリンが必要となった
・経尿道的前立腺切除術を除いて、内視鏡的泌尿器科手術では、どの部分にも狭窄が生じることはほとんどない
・尿道にステントを留置していたことから、以前の尿管ステント留置・回収が原因ではないことが示唆された
・結核または尿路住血吸虫症は時々、両側性の尿管拡張を呈する尿道狭窄を呈することがある
・膀胱が空っぽにならない感覚や尿の流れが悪いという下部尿路の症状がないため、この狭窄が単なる偶発的なものであるかどうかを考慮する必要がある
・慢性的な症状や再発する症状がないかどうかよりも、痛みがないかどうかの方が重要である
・膀胱壁が引き伸ばされると痛みを伴うが、ゆっくり引き伸ばされる場合は痛みを伴わない
・膀胱鏡検査による尿管内圧の上昇により、腎実質から循環への細菌の逆流を引き起こした可能性がある
・広域抗菌薬、細胞外液の投与、モニター管理が必要である
#セフトリアキソンを中止、ピペラシリン-タゾバクタムを選択した
#ノルアドレナリンは24時間以内にoffにすることができたが、腎機能は増悪した (Cre 10.5、乏尿)
# Foleyカテーテルを留置中であったため、腎ろうを増設した
#ピペラシリン-タゾバクタムを投与しても7日間発熱が続いており、血液培養および尿培養はすべて陰性であった
#胸部X線は正常
#7日目までにCre 2.5mg/dLまで腎機能は回復したが、横ばいになった
診断に迫る検査は?
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・PIPC/TAZより広い抗菌薬を投与することも選択肢だが、培養が陰性で無菌性の運用であることから、細菌性ではない鑑別を考えることも重要
・尿路住血吸虫症は両側の尿管拡張と発熱の原因になるが、急性の経過であり、慢性の経過は珍しい
・泌尿器系の結核菌は可能性は高く、尿中核酸増幅と抗酸菌塗抹と培養が診断として有用
#抗菌薬は7日目に中止されたが、発熱は続いた
#尿ヒストプラズマと血清クリプトコッカス抗原は陰性
#尿 AFB塗抹は1+陽性
#総タンパク質7.0g/dL、アルブミン3.0g/dL、総ビリルビン1.2mg/dL、直接ビリルビン0.3mg/dL、アルカリホスファターゼ418mg/dL、直接ビリルビン0.3 mg/dL、アルカリホスファターゼ418U/L、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ 65 U/L、アラニンアミノトランスフェラーゼ 88 U/L、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT) 609 U/L 正常、3~60)、乳酸脱水素酵素284U/L(正常。85-210)
診断は?
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最終診断:泌尿生殖器結核(GUTB)による尿道閉塞及び両側尿管拡張
・尿中のAFB塗抹陽性は結核菌を強く示唆しており、尤度比は10以上
・治療により肝毒性の可能性があるため、非結核性抗酸菌を除外しなければならない
・尿の結核培養は最大6回の尿サンプルの提出が必要、偽陰性率は90%と報告されており、結果が出るまで最大2ヶ月かかる
・尿の核酸増幅検査は 24 時間以内に病原性のある結核性抗酸菌を検出できる
・乾酪性肉芽腫が見つかれば、 非病原性のコロニーの可能性は無視できる
・アルカリホスファターゼおよびGGT(最も重要な肝結核における一般的な肝酵素異常症)は肝結核も鑑別に考える
#胸部CTでは両側性の上葉の繊維化を示したが空洞病変はなかった
#喀痰塗抹は陰性であったが、1つの検体はPCRで結核菌が陽性であった
・泌尿生殖器結核(GUTB)の懸念を考慮すると、活動性結核が除外できるまで患者を空気感染対策と隔離することが適切である
・喀痰塗抹が陰性であるため、空気感染対策と隔離は不要と判断した
・胸部X線写真は正常であったが,CTでは肺結核の既往を示唆する両側上葉線維性疾患が認められた
・ GUTBは再活性化と考えられる
・4種類の抗結核薬による2ヶ月間の治療は感受性を待たずに始めるべきである
・泌尿器科のフォローアップも必要である、経皮的腎瘻造設術で初期治療された結核性尿管ストリクチャーは、抗結核療法では消失しない
転機
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#4種類の抗菌薬(リファンピン、エタンブトール、ピラジンアミド、イソニアジド)で治療した
#2週間後のフォローで発熱はおさまった
#肝機能検査ではASTの正常化と LDHだけでなく、GGTとアルカリホスファターゼのレベルも45%低下した
#退院から2ヶ月後、核医学検査で右腎機能は正常のため右腎瘻チューブを抜去した、左尿管は尿管狭窄が残存しているため左腎瘻を入れたままにした
Teaching points
・米国では、肺外結核(EPTB)が全患者の10%を占めている
・ GUTBは世界で2番目にEPTBとして一般的である
・マイコバクテリアは、一次感染または再活性化の間に血行性の拡散を介して泌尿生殖器管(GU)に到達する
・尿管および膀胱へ広がり、複数の尿管狭窄や膀胱の拘縮を伴う尿管溝接合部(UVJ)の障害により、水腎症や水腎症を引き起こす
・片側性の腎臓病変は最も一般的だが、今回の症例のように両側性の病変が発生することがある
・ GUTBは男性の方が多い
・症状は、頻尿、切迫感、排尿困難、腰痛や重度の血尿が一般的である。発熱は一般的ではない。両側性尿管狭窄は閉塞性腎不全を引き起こし、生殖道に浸潤すると骨盤や陰嚢の痛み、腫れ、瘻孔形成に至る。
・診断には尿中に結核菌が検出されることが必要
・結核菌の尿培養は、6~8週間後に最大90%の症例で陽性
・結核菌の尿PCRの感度は96%、特異度は最大98%
・ CT検査では90%以上の症例で複数の尿管狭窄を示す異常が認めらる
・ GUTBは標準的な抗結核レジメンで治療される。
・尿路閉塞の患者には尿管ステント留置術、経皮的腎瘻造設術、尿路変更、または尿管再建手術、片側腎摘出術が必要な場合もある
・尿培養による5年間の長期追跡調査で、治療後、患者の最大6%に再発がみられるため、尿培養とPCRを半年ごとに行うことが推奨される
振り返り
・尿管結石や明らかな閉塞機転がない時の両側尿管拡張、尿道閉塞という鑑別で結核を考慮することが必要
Next step
・尿路住血吸虫症について
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排尿後の動悸および発汗
21歳男性、4日間の腹痛、嘔気、嘔吐を訴えて救急外来に来院した。
A Branching Algorithm. J Hosp Med. 2019;14(10):707‐711.
https://mdedge-files-live.s3.us-east-2.amazonaws.com/files/s3fs-public/issues/articles/jhm014110707_0.pdf
病歴より
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#高血圧症の既往歴のある21歳の男性が4日間の腹痛、嘔気、嘔吐を訴えて救急外来に来院した。
#腹痛、嘔気、嘔吐に加えて 1ヶ月間の緩い便。また、1日中頭痛があった
#嘔気のために、彼は 2日間薬が飲めない。
#家庭用血液 過去2日間の血圧測定で収縮期血圧が200mmHgを超えた
#発熱、呼吸困難、胸痛、視力の変化、しびれ、脱力感、発汗、動悸などはない
・優先順位をつけて、動脈疾患、腸閉塞、臓器穿孔を含む重篤な腹腔内プロセスを除外する
・高血圧症では、若い年齢では特に二次的な原因(原発性アルドステロン症、慢性腎臓病、線維筋異形成、違法薬物使用、高コルチゾール症、褐色細胞腫、大動脈縮窄症、甲状腺中毒)を評価する必要がある
追加の問診より
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#16歳で高血圧症と診断、19歳パニック発作
#最近1年胃食道逆流症が原因とされる持続性の嘔気
#常用薬:メトプロロール50mg/日、アムロジピン5mg/日、ヒドロクロロチアジド12.5mg/日、エスシタロプラム20mg/日、オメプラゾール20mg/日
#父親と15歳の弟も高血圧症
#カーディーラーで働きながらアルバイトをしていた学生
#違法薬物なし、飲酒なし
・ 3種類の降圧薬の必要性は重症な高血圧症を示唆する
・患者自身の早期発症と家族歴は遺伝性の高血圧症を示唆
・常染色体優性多嚢胞腎では慢性腎臓病になる前に高血圧になることが多い
・家族性高アルドステロン症、リドル症候群、または褐色細胞腫の素因となる遺伝性内分泌腫瘍が遺伝性の高血圧症
・カテコラミン過剰時に吐き気や嘔吐を引き起こす
身体所見より
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#体温は36.4°C、心拍数は95回/分、呼吸数は18回/分、酸素飽和度100%
#血圧181/118mmHg(両腕の収縮期血圧と拡張期血圧は10mmHg以内)#2分間の立位の後、収縮期血圧と拡張期血圧にはそれぞれ20mmHg以上、10mmHg以上減少した。
#BMI 24
#第5肋間の中鎖骨線上に心尖拍動、左上胸骨境界部から頸動脈への放射するLevine 3/6の収縮期雑音
#腹部は軟、触診で全体的に圧痛あり、反跳痛なし、臓器腫大なし、血管雑音なし
#CVA巧打痛なし、リンパ節腫脹なし、
#眼底鏡・肺、皮膚、神経学的検査は正常
#WBC 13300、Hb 13.9g/dL、血小板 37、Na 142、HCO3 25、BUN 12、Cre 1.3、糖88、Ca 10.6、Alb 4.9、AST 27、ALT 37、リパーゼ 40
#尿沈渣:WBC 5-10/HPF、蛋白 10mg/dL
#心電図:左室肥大
#胸部X線撮影は正常
・腹膜炎、肝臓、膵臓、胆道の炎症は否定的
・三尖性逆流があればカルチノイド症候群で下痢の説明がつく
・頭痛の原因となる頭蓋内の出血の可能性は低い
・ 4.9 g/dLのアルブミンは、嘔吐、下痢による脱水による循環血漿量減少を示唆するかもしれない
・褐色細胞腫でも、利尿が進み脱水になる可能性がある
・原発性アルドステロン症の検査のために血清アルドステロンとレニン、褐色細胞腫の評価のために血漿または24時間尿中ノルメタネフリンおよびメタネフリンレベルを測定したい
追加検査
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#iPTH 78 (正常、10~65pg/mL) 、TSH 3.6 (正常、0.30~5.50mIU/L) 、早朝コルチゾール 4.1正常、>7.0 ug/dL) 、
#血漿アルドステロンは14.6(正常、1~16ng/dL) 、血漿レニン活性3.6ng/mL/hr(正常、0.5~3.5ng/mL/hr)、アルドステロン-レニン比4.1(正常、20未満)
#心エコー:LVHあり、弁、壁運動、近位大動脈は正常、左室駆出率は70%
#腹部骨盤の造影CTでは、前立腺に関連した5cmの不均一な増強される腫瘤があり、
#腫瘤が尿管を閉塞して右側重度の尿管拡張と水腎症
#傍大動脈のリンパ節腫大(2.8cm)、両側外腸骨リンパ節腫大(2.1cm、1.5cm)
#副腎腫大なし
・前立腺、膀胱、大腸がんにしては若い
・前立腺腫瘤は、感染性(例、膿瘍)または悪性(例、腺癌、小細胞がん)も鑑別
・アルドステロン-レニン比と正常なKは、原発性アルドステロン症の可能性を低くする
・ 腹痛と胃腸症状は腸の炎症、右側の尿管拡張から説明できる
・症状を一元的に説明できる疾患は褐色細胞腫であるが、CTより副腎腫瘍がないことを確認している
鑑別は?
#LDH 179、PSA 0.7
アムロジピンとラベタロールを投与し、血圧を160/100まで改善した
Cre 1.1まで改善
右腎盂は、経皮的腎瘻造設術を施行し、4日間で15Lの排尿が得られた
#経皮的腎瘻造設術の4日後、激しい頭のふらつき、発汗、動悸などを経験した(数ヶ月前と同様のエピソードだった)
#動悸および発汗は、排尿後にのみ発現する。
・排尿は骨盤の腫瘤に刺激を引き起こし、カテコールアミンの分泌を引き起こしたと考えられる
・放尿に伴う神経心原性反射も鑑別
診断に迫る検査は?
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#血漿中のメタネフリンは0.2 nmol/L(正常、0.5 nmol/L未満)、血漿中のノルメタネフリンは34.6 nmol/L(正常、0.9 nmol/L未満)
#尿中メタネフリンは72 ug/24時間(正常、0~300 ug/24時間)、ノルメタネフリン8,511 ug/24時間(正常、50~800 ug/24時間)
(症状を一元的に説明できる疾患は褐色細胞腫であるが、CTより副腎腫瘍がないことを確認している)
・したがって、傍神経節腫からのカテコラミンリリースが最も考えられる
・機能的画像診断または腫瘤や隣接するリンパ節の検査が適応
・カテコラミン漏出による血管収縮を防ぐために、生検前にα-アドレナリン受容体拮抗薬で治療すべき
#リンパ節生検でクロモグラニンAとシナプトフィシン陽性となり、転移性傍神経節腫が判明
#FDG-PETで頭蓋骨転移が認められた
フェノキシベンザミン、アムロジピン、ラベタロールで治療した。
骨盤腫瘤の外科的切除が検討されたが、切除が困難であり、回腸尿管を必要とするため、手術を躊躇した
#母方の叔父が頸動脈傍神経節腫と診断されていたことが判明した
遺伝子検査でコハク酸脱水素酵素複合体サブユニットB(SDHB)が同定され、遺伝性傍神経節腫症候群(HPGL)と診断された
転機
1年後、肝臓と肺転移を発症しランレオチド(ソマトスタチンアナログ)、カペシタビン、テモゾロミドを受けた
緩和を目的とした開頭手術と放射線治療を行なったが、患者は2年も経たないうちに死亡した
Teaching points
二次性高血圧について
- 30歳未満での高血圧の発症、3種類以上の薬物療法に対する抵抗性、または年齢にかかわらず急性発症の高血圧は、二次的原因の評価を促すべきである
- 二次性高血圧の有病率は、18~40歳の高血圧患者では約30%であるのに対し、成人の高血圧患者では5~10%
- 二次性高血圧の最も一般的な病因は原発性アルドステロン症、若年成人(19歳から39歳まで)では腎血管疾患や腎実質疾患が一般的である
- その他、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、薬、覚せい剤(コカインとアンフェタミン)、および甲状腺中毒症、クッシング症候群、カテコラミン分泌腫瘍などの内分泌疾患が原因である
傍神経節腫について
- 傍神経節腫は末梢自律神経系に発生する腫瘍。これらの新生物は傍脊椎および大動脈軸に沿った交感神経と副交感神経から発生する
- 頭頸部の傍神経節腫は無症候性であり、一般的には腫瘤の増大により発見される
- カテコールアミンを分泌する傍神経節腫のサブセットは、最も多くの場合、腹部および骨盤に発生し、臨床症状は褐色細胞腫と類似している。
- 膀胱傍神経節腫の他の症例には排尿に関連する症状や高血圧症のエピソードを認める
- カテコラミン分泌性腫瘍では、 頭痛(60〜80%)、頻脈・動悸(50~70%)、不安(20~40%)、嘔気(20~25%)、その他、発汗、顔面蒼白、呼吸困難、およびめまいをきたす
- 傍神経節腫や褐色細胞腫は、血漿遊離か24時間尿中分画メタネフリン(感度、特異度共に90%以上)が有用である
- FDG-PET、Ga-DOTATATE-PET、または123I-MIBGを用いたイメージングは、診断をさらに確認し、遠隔転移を検出することができるが、感度が低いため転移が疑われる患者にのみ考慮すべき
- 褐色細胞腫は散発性であるが、傍神経節腫の40%は生殖細胞の病原性変異(コハク酸脱水素酵素(SDH)グループの変異が原因)によるもの
- 傍神経節腫および褐色細胞腫のほとんどは局所的で良性だが、10%~15%は転移性である
- 褐色細胞腫または傍神経節腫を有する患者で、リスクのある家族を見つけるために遺伝子検査が進められる
振り返り
・腹痛、嘔気、嘔吐、軟便、頭痛は非特異的であるが、若年性の高血圧症でemergencyな疾患を想起するべきであった
Next Step
・カーニーストラタキスの二徴(傍神経節腫とGIST)
・カーニーの三徴(傍神経節腫とGIST、肺軟骨腫) 参考
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左脇腹の痛み
24歳男性、アメリカ、左脇腹の疼痛を主訴に来院。
When the Past Informs the Present: An Exercise in Clinical Reasoning
J Gen Intern Med. 2020;35(3):922‐927.
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11606-019-05491-9
病歴より
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#主訴:左脇腹の痛み
#1週間前、発熱、悪寒、湿性咳嗽が出現
#呼吸困難なし、胸痛なし、喀血なし、血尿なし、排尿障害なし
・尿管結石や筋骨格系の痛みも鑑別
・胸椎の神経根症状も鑑別
・脾梗塞や脾のうっ血も鑑別
・左下葉の肺炎も鑑別
・大動脈瘤破裂や副腎出血は見逃せない
#2年前、右顔面神経麻痺、右上下肢筋力低下、失語症を認め、左中大脳動脈の梗塞、右下肢にDVT、PE、血小板減少、微小血管障害性溶血を認めた
#ADAMTS13の低下がありTTPと診断され、血漿交換、ステロイド、抗凝固薬で治療し症状は良くなったが、右側の軽度の筋力低下を認めた。
#6ヶ月で抗凝固薬を終了し、痙攣の予防のためにlevetiracetamの内服を始めた
#血液や自己免疫の家族歴なし
#違法薬物、喫煙、飲酒なし
・TTPのトリガーの半数は、感染(HIVなど)、自己免疫疾患(SLE)、妊娠を占める
・以前の診断で精査されていないTTPの原因を精査することも重要
身体所見より
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#体温 38.1℃ 心拍数は91回/分、血圧143/86、呼吸数18、酸素飽和度97%(RA)
#頸静脈正常、心音正常、肝硬変の所見なし、
#左下葉にcrackleあり、
#軽度の圧痕性浮腫が脛骨にあり
#CVA巧打痛や皮疹はない
#腹部は軟、圧痛なし、肝・脾腫大なし
#右上下肢筋力低下は以前と変わらない
・主に全身性の下腿浮腫の原因は、心臓、肝臓、腎臓の問題で生じるため、腎臓の可能性が高まる
・稀だが、下大静脈の血栓が下腿浮腫を起こすことがある
・肺炎も疑われるが、罹患期間から結核や特発性器質化肺炎も鑑別
検査所見より
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#WBC 4400 (好中球68%、リンパ球17%)、Hb 10.7、MCV 78、血小板 26.8 万、中毒性顆粒のある好中球、破砕のない小赤血球
#フェリチン 426、Cre 2.9、AST 41、ALT 41、TBil 0.4、ALP 178、Alb 2.5、TP 6.6、CK 558、LDH 228、コレステロール 146、
#PT-INR、APTT正常、
#呼吸器ウイルスパネル正常
#尿沈渣:蛋白 3+、RBC 2+、WBC 27/HPF
#尿タンパク/Cre 4
#左下葉の不透明、左胸水
#左下葉ではair bronchogramを認める浸潤影、軽度の脾臓腫大
・ネフローゼ症候群、原発性(巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、微小変化型)、二次性(感染症(HIVなど)、自己免疫疾患(SLE)、悪性腫瘍(例、結腸癌)、薬物(NSAIDs)、およびアミロイドーシス)
・AKIの原因はネフローゼ症候群でない可能性が高い
・膿尿は尿路感染症または間質性腎炎(HIV関連腎症など)
・肺炎が考えられ、抗菌薬が必要である
・肺炎以外にはびまん性肺胞出血が鑑別である
・ネフローゼ症候群の免疫グロブリンとアンチトロンビンIIIの消耗は、それぞれ免疫不全と高凝固性になる可能性がある
・ANCA関連血管炎や抗糸球体基底膜疾患は肺腎症候群を併発する
セフトリアキソンとアジスロマイシンで治療を受け、発熱、脇腹の痛みと咳が改善、クレアチニンは2mg/dLに減少、 24時間尿蛋白は10,176mg
腎生検を行った
2日後、咳と発熱、呼吸困難で再診
再び診察
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#血液と喀痰の培養は陰性であった
#体温は39.2℃、心拍数132 bpm、血圧160/82 mmHg、呼吸数 22回の呼吸数、酸素飽和度 2Lの酸素で95%、努力呼吸あり
#左下肢の呼吸音が低下
#心血管系の診察は正常
#Hb 10.4、WBC 14,700(好中球が83%、リンパ球が10%)、血小板 35.9万、クレアチニンは2.4mg/dL、ESR 114、CRP 17、トロポニンI 0.06 ng/mL、LDH 353、HIV抗体陰性、HCV、HBV陰性
#血液塗抹では白血球増多、破砕赤血球なし
#単純CT:左上葉、右下葉に斑状の浸潤影、左胸水増加、左下葉、左上葉が無気肺、軽度の右胸水
・抗菌薬に反応しない経過から、SLEや他の肺腎症候群をきたす疾患(ANCA、GBM)による肺胞出血や肺炎を考える
・貧血、腎障害、LDH上昇あり、TTPも鑑別だが、破砕赤血球ないこと、血小板正常が合わない
追加検査より
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#脱毛や皮疹、関節炎、心膜炎、口内炎の病歴はなし
#抗核抗体陽性 ≧1:640 (斑紋型)
#C3, C4は正常
#RF、抗dsDNA抗体、抗ミトコンドリア抗体陰性
#抗RNP抗体陰性 、抗Smith抗体陰性 (誤植?)
#腎生検:毛細血管内および毛細血管外での増殖、フィブリノイド壊死、フィブリン血栓を伴う巣状の増殖性糸球体腎炎、膜性腎症の所見
#免疫蛍光顕微鏡:毛細血管壁に沿った免疫沈着とメサンギウム、および局所的な顆粒状の管状基底膜の染色、電子顕微鏡では、膜性腎症に特徴的な上皮下層の電子密度の高い沈着物が観察
・抗核抗体陽性、抗Smith抗体陽性(誤植?)、増殖性糸球体腎炎、膜性腎症ではSLEを考える
・自己免疫性漿膜炎が胸水貯留の原因になる
・肺実質の障害はびまん性肺胞出血や急性間質性肺炎を起こす
・血栓症のリスクにもなるため、PEの可能性を考える
バンコマイシン、セフェピム、アジスロマイシンで加療開始
#胸腔ドレナージ:RBC 8500、WBC 1094(リンパ球優位)、pH 7.41、Glucose 99、LDH 751U/L、Protein 4g/dL
(血清総蛋白 5.9g/dL)
・滲出性胸水の所見
・グラム染色と糖より膿胸は否定的
・PEでは血性胸水や呼吸困難を説明できる
・抗リン脂質抗体症候群も鑑別となる
#抗酸菌は陰性
#呼吸困難、発熱、低酸素血症は継続した
#造影CT:右中葉、下葉に血栓、右下葉の浸潤影増強、左胸水は減少、左腎静脈に血栓
#ループスアンチコアグラント、抗β2グリコプロテイン抗体、抗リン脂質抗体は陰性
・これらの所見はSLEと合致する
・TTPのエピソードはSLEの前兆だったのかもしれない
最終診断:全身性エリテマトーデス (SLE)
転機
ヘパリン、プレドニゾロン、ミコフェノール酸モフェチル、ヒドロキシクロロキンで加療開始
胸水は減少し、胸腔ドレーンは抜去出来た
左腎静脈血栓はIVRで取り除いた
頻脈、発熱、低酸素血症は数日以内に改善した
9日後、Cre 2.9から1.7へ改善
2週間後、腎機能は正常に改善した
・今回の症例は過去のTTPに着目して診断を進めることが出来た
・TTPの最初のエピソードの間に、SLEの20%が見つかる
・特発性のTTPと診断された人の10%が後日、自己免疫疾患が見つかる
Teaching points
・ネフローゼ症候群は蛋白尿(24時間で3.5g/dL以上)、末梢性浮腫、高脂血症、および低アルブミン血症(3g/dL未満)を特徴とする
・膜性腎症の二次性の原因に、SLE、HBV、薬剤性がある
・ TTPの最初のエピソードの間に、SLEの20%が見つかる、また特発性のTTPと診断された人の10%が後日、自己免疫疾患が見つかる
・SLEとネフローゼ症候群による過凝固が、肺動脈塞栓や腎静脈血栓をきたしたと考えられる
振り返り
・通常はもう少し早い段階で胸腔穿刺をしただろう(片側胸水なら尚更)、リンパ球優位の滲出性胸水は結核やSLEが鑑別
・SLEらしい身体所見の記載がなかったことも目眩しになった
・抗dsDNA抗体陰性、補体正常は目眩しだった
Next Step
・SLEは非常に奥が深い疾患であるため、要勉強である
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