嘔気、筋肉痛、痙攣、
日本人、74歳女性、嘔気、筋肉痛、痙攣、酸素化低下
Two cases of ・・・・ in humans. Clin Toxicol (Phila). 2010;48(8):851‐853.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.3109/15563650.2010.517207
(一部、編集)
病歴より
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#突然の嘔気、筋肉痛、自然収束型の痙攣、頻脈、血圧低下、呼吸困難、喉の乾きで救急車で来院
#既往:高血圧と心室期外収縮
#常用薬:cilnidipine、 candesartanを内服中
身体所見・検査所見より
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#GCS 15、瞳孔 4/4
#血圧は82/40mmHg、脈拍数は104/分(不整)、呼吸回数 18/分、SpO2 84%(室内気)、
体温 34.4℃、尿量 1ml/kg/hour以上
#血液ガス検査:pH 7.288、PaCO2 35.2、PaO2 134.4、HCO3 17、BE -9.8、Lactate 11、Anion Gap 19.6
#血液検査:WBC 10400(好中球 58%m、リンパ球 36%)、AST 27、ALT 16、ChE 239、Glu 251、BUN 13、Cre 0.69、Na 146、K 2.2、Cl 104
#エタノールは陰性
追加の問診
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#来院の90分前にネオニコチノイド系殺虫剤を自殺目的に大量内服した
#最終診断:急性ネオニコチノイド中毒
治療:胃洗浄、活性炭、排便促進、支持療法(制吐薬、酸素、昇圧剤、K補充、抗菌薬投与、H2ブロッカー)
転機:嘔気は7時間、低酸素血症は20時間、血圧低下や頻脈は11時間、口渇は22時間続いた。翌日には全ての症状が消失し退院した。
ネオニコチノイド中毒について
・ネオニコチノイド系殺虫剤はシロアリ駆除、シラミ・ノミ取り、ゴキブリ駆除などで一般家庭や農業などで幅広く使用されている殺虫剤である
・ネオニコチノイド系殺虫剤の成分であるネオニコチノイドとは、ニコチン性アセチルコリン受容体のアゴニストであり、神経筋麻痺をきたし、死亡する場合もある
・ネオニコチノイド系は7種類に分けられる
・イミダクリプリド,アセタミプリド,クロチアニジン,チアクロプリド,ジノテフラン,ニテンピラム、チアメトキサム
文献報告されている中毒は、イミダクリプリドが最多(94%)、アセタミプリド(5%)、クロチアニジン(1%)と続く
・症状について
・尿中の6-クロロニコチン酸を測定する方法がある
・ただし、6-クロロニコチン酸はアセタミプリド、イミダクリプリド、チアクロプリド、ニテンピラムの共通代謝産物で、チアメトキサムからは出ない(チアメトキサムは血液、尿などから検出可能)
・血漿のネオニコチノイド系濃度と症状は相関しない可能性があり、ネオニコチノイドの濃度測定はマネージメントには必須ではない
・マネージメント:皮膚の除染と汚染された衣服の除去が必要、胃洗浄や活性炭も使用を考慮する(ただし口腔内や消化管粘膜への腐食性の傷害が発生している場合は胃洗浄や活性炭は禁忌)、自然回復まで支持療法が必要である
・予防:ネオニコチノイド系殺虫剤を使用する場合は、帽子、ゴーグル、手袋、エプロン、ブーツなどの装備装着を必ず指導する
Basic Clin Pharmacol Toxicol. 2013;112(4):282‐286.を参照
振り返り
・市販の殺虫剤の大量内服歴を聴取できれば、診断は容易
・皮膚からの吸収で中毒を起こす報告もあるため、職業歴や暴露歴の聴取も重要
Next Step
・ネオニコチノイド中毒はまだ一般外注検査機関で検査・測定できないため、ネオニコチノイド中毒を疑った場合は、大学病院を含め、獣医学部や農学部で測定可能な外部機関を個人のつてで探さざるを得ない
・肺はどんな画像を呈するのか?
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